下塗り
下塗り(したぬり)とは、2層以上の塗装を施す際に、最初に塗る工程を言い、2層目以降の塗装を長持ちさせ、きれいに仕上げる目的で行われるものです。
外壁や屋根の塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本です。中塗りと上塗りは同じ塗料を使用しますが、下塗りは専用の下塗り材(下塗り塗料)を使用します。
中塗り/上塗り材は耐候性、低汚染性、防カビ、防藻性などの機能を持っていますが、密着性には欠けています。下塗り材は、下地と中塗り/上塗り材とを結びつける接着剤のように密着性を高める役割を持っています。
下塗りは中塗り/上塗りの機能が最大限発揮されるように、下地を整える(お化粧で言いますと、ファンデーションやローションの)役割を担っています。
下塗り材には、既存の塗膜や下地の状況、目的・用途などに応じて、豊富な種類が存在します。主なものは以下の通りです。
1.プライマー
:語源はprimary(最初の)。最初に塗られる塗料=下塗り材の総称。下地と中塗り/上塗りの密着性を高める接着プライマーや、鉄材などに塗る防錆プライマーなど。
2.シーラー
:語源はseal(塞ぐ、覆う)。下地を覆うための塗料。下地を整えて接着性を高め、上に塗る塗料が下地に吸い込まれてできるムラを抑える役割を果たします。プライマーとほぼ同じ役割を持ちます。
3.サーフェイサー
:語源はsurface(表面)。表面を均等化・平坦化するための塗料。プライマーやシーラーと、上塗り(・中塗り)剤との中間に塗ることで、サンドペーパーなどで平坦にする下地処理作業を軽減することができます。
4.フィラー
:語源はfill(埋める、満たす)。下地の隙間を埋めるための塗料。シーラーより粘性があり、塗ると厚みが出るので、それを活かして、下地の凹凸やヘアクラックなどを補修・埋めることができ、下地を調整して滑らかな表面を作るのに用いられます。
5.微弾性フィラー
:弾性機能が高いフィラーで、下地の表面が多少荒れていても対応できます。通常のフィラーよりもさらに膜を厚くでき、下地の補修力・調整力に優れています。シラーとフィラー両方の機能を兼ね備えた塗料で、下塗り材の主流になっています。