カバー工法・重ね葺き
屋根のカバー工法とは、今ある屋根材を取り除かず、新しい屋根材を重ねて貼るリフォームの手法です。重ね葺き(かさねぶき)とも言います。
重ね葺きによって、真新しい外観を実現しつつ、防水性を回復させるなど、住宅を保護することができます。新しい屋根材を採用してデザインを一新することもできます。
屋根のリフォーム工法は、カバー工法・葺き替え・塗り替えの3つがありますが、その中で最も費用がかかる葺き替えに比べ、重ね葺きは安く抑えられます。
既存の屋根材を取り除いて、新しい屋根材を取り付ける葺き替えと違い、重ね葺きは解体費や廃材処分費がかからないからです。80㎡の屋根の葺き替え費用が一般的に150万円以上かかるのに対し、屋根カバーの費用は80~150万円程度です(ともに足場・養生・洗浄にかかる費用等は含みません)。解体や撤去が必要ないため、工期も比較的短く済みます。
屋根メンテナンスの3つの工法の中で最も費用が安いのは屋根塗装。ただし、屋根塗装を10年ごとに繰り返し行ったとしても、屋根材が寿命を迎えたり、屋根材の痛みが表面・下地材まで及んでしまっていると、塗装だけではどうにもならず、葺き替えやカバー工法が必要になります。
新築で購入した住宅がスレート系の屋根だった場合、購入後10年経った頃に屋根塗装を行い、更に10年経った頃に再度塗装を行い、更に10年経った頃にカバー工法を行うのが一般的でしょう。ただし、カバー工法を行えるのは下地は痛んでいないという場合に限られます。既存部分を補修しないので、下地が痛んでいた場合、腐食し雨漏りの要因になる場合もあります。損傷が激しかった場合、葺き替えが必要な場合もあります。
一方、瓦屋根など粘土系・セメント系の屋根の場合、一般的に塗り替えの必要がなく、30年程度はリフォームの必要がありません。ただし、痛みが進んだ場合には、重量が重いため、屋根を重ねるカバー工法はできず、本格的な葺き替えが必要になるでしょう。外壁材を重ねるので重量が嵩んでしまい耐震性が落ちることが、カバー工法の弱点です。
また、カバー工法は重ねられる形状の屋根材にしか実施できません。具体的に言いますと、スレート系など、フラットな形状な屋根材のみが対象です。
アスベスト(石綿)を含む屋根のメンテナンスには、解体する際に飛散してしまう恐れのある葺き替え工事よりも、解体の必要がないカバー工法が多くの場合で適切でしょう。
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