アスベスト石綿スレート屋根
アスベスト(石綿)スレート屋根とは、アスベストを混ぜて形成されたスレート系の屋根のことです。健康被害を理由に現在では2004年以降、使用が禁止されています。
▼ アスベストとは?
アスベストとは、綿のような外観を持つ繊維状の鉱物。火に強いという特性などから世界的に広く普及してきましたが、アスベスト製造工場で働いていた職人に特異な肺がんが発病するなど、アスベストが引き起こす健康被害が明るみに出ました。日本では、段階的な規制を経て、アスベスト製品の製造・輸入・使用が全面禁止されました。
▼ アスベストレート屋根の危険性
アスベストを含んだスレート屋根は2004年に禁止されましたが、2004年以前に作られたスレート屋根の多くにアスベストが含まれています。それがアスベスト=石綿スレートです。
ただし、石綿スレート屋根に練りこまれているアスベストは少量ですので、危険性は低いとされています。ただし、屋根材の高圧洗浄や切断、穴あけ、撤去を行う場合、アスベストが飛散するので注意が必要です。
▼ アスベストスレート屋根のメンテナンス
石綿スレート屋根のメンテナンスは、塗装するにせよ、葺き替えするにせよ、アスベストの飛散対策が必要となり、割高になってしまいます。現存の石綿スレート屋根の上に、違う屋根材を重ねる「重ね葺き(カバー工法)」であればアスベスト飛散の恐れは低く、実施されることがあります。
▼ 初期のノンアスベストスレート屋根の問題点
アスベスト=石綿スレートが問題視され禁止されたことで、石綿を含まないノンアスベスト(無石綿)のスレートが登場しました。
その代表が1996年に販売が始まったニチハ社の「パミール」です。この頃はニチハに限らず、各メーカーから相次いでノンアスベストの屋根材が開発・販売されています。
ところが、パミールに代表される初期のノンアスベストスレートは、築7年程度で表面が剥がれはじめ、十数年程度でボロボロに崩れだしてしまう事例が多発しました。中には、少しの振動でスレート屋根材が滑り落ちてしまう事例もありました。これは、アスベストに代わる製品開発や検証が不十分であったためです。
パミールに代表される低耐久のノンアスベストスレート屋根は痛むのが早く、メンテナンスを早めに行わなければいけません。しかし、塗装はほぼ無意味なため、葺き替えかカバー工法(重ね葺き)が推奨されています。
パミールは2008年に販売が終了。そして、ケイミュー(旧クボタ松下電工外装)などのメーカーから耐久性に優れたスレート屋根が登場しました。今日では新築住宅の約7割にスレート屋根が採用されています。
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