スレート系 屋根

スレート系の屋根とは、石質の薄い板で作られた屋根のこと。紙とパルプ繊維にセメントを染み込ませたものにシリコンと同成分のものを加えて強度を上げたものがメインです。
現在の新築住宅の7割に採用されており、屋根材の主流となっています。
▼通称 カラーベスト・コロニアル屋根
カラーベスト
、コロニアル屋根
と呼ばれたりもしますが、これはケイミュー(旧クボタ松下電工外装)のスレート屋根の商品名で、スレート屋根の中でとても高い採用率であったため、スレート屋根の代名詞のように使われるようになっています。
▼スレート屋根のメリット(・デメリット)
スレート系の屋根は、瓦屋根に比べて、耐久性・耐火性・遮音性などで劣るものの決してそれらが低いわけではなく、同時に重量が軽く(瓦の半分以下。地震に強い)、カラーバリエーションやデザイン性にも優れており、設計がしやすいなどのメリットがあります。見た目も薄い板でシンプルに整っています。費用も比較的安価。コストパフォーマンスが高い屋根と言えます。
▼ スレート屋根の種類
1.天然スレート
:天然石(粘板岩(ねんばんがん)という天然の泥石や真岩)を使用したスレート屋根の高級品。重厚感のある仕上がりが魅力ですが、衝撃にはもろかったり、値段が高かったりするために日本ではあまり普及していません。
2.繊維強化スレート
:セメントと繊維を混ぜて固めて着色したもの。日本で見られるのはほぼこの繊維強化スレートで、以下の2つの種類があります。
▼ 繊維強化スレートの種類
1.化粧スレート
:平らなスレート。主に家庭向け戸建て住宅で多く採用されています。
2.波形スレート
:トタン板のように波打ったスレート。主に工場などで採用されています。
▼ メンテナンス
スレート屋根は塗り替えなどのメンテナンスが必要です。放置していると、防水性や耐熱性などが徐々に失われ、表面の割れや反り、下地の腐食、カビ、シロアリなどが発生します。塗り替えの目安は10年前後。状態が悪ければ、葺き替えやカバー工法(重ね葺き)が必要になります。
スレート系の屋根塗装には、塗装後に雨水の通り道を確保するために縁切り(えんぎり)作業が必要になります。
一般的には、購入後10年経った頃に屋根塗装を行い、更に10年経った頃に再度塗装を行い、更に10年経った頃にカバー工法を行います。損傷が激しかった場合、葺き替えが必要な場合もあります。
▼ 石綿スレート
かつて、セメントと石綿(アスベスト)を混ぜて形成したスレートが製造されていました。軽量で、火にも強く、費用が安かったために、当時は多く採用され、ほとんどがアスベストを混合していました。しかし、アスベストには健康に害があることが明らかになり(アスベスト問題)、石綿スレートの使用が禁止されたため、現在は製造されていません。代わりにアスベストの代わりにパルプやビニロンを混ぜることで耐久度・軽量を維持した無石綿=ノンアスベストスレートが登場しました。
2004年以降に施工されたスレート屋根には、アスベストは使用されていません。それ以前に施工されたスレート屋根の多くには石綿が含まれており、その対策が進んでいます。
▼ 初期のノンアスベストスレートの問題点
1990年代半ばより、アスベストを含まないスレート屋根が各メーカーから多く登場しました。ニチハ社の「パミール」に代表される初期のノンアスベストスレート屋根は、製品開発や検証が不十分であったために、多くの問題が報告されています。築7年程度で表面が剥がれはじめ、十数年程度でボロボロに崩れだしてしまう事例が多発。パミールは2008年に販売が終了されています。これらの低耐久ノンアスベストスレート屋根は、塗装をしてもほぼ無意味で、対策としては葺き替えやカバー工法(重ね葺き)が推奨されているため、一般的に費用が高くなります。
現在では、耐久性に優れたスレート屋根が多く登場しています。