縁切り

縁切り（えんぎり）とは、スレート系屋根（コロニアル・カラーベスト）の塗装に必要な作業工程で、塗料乾燥後に、隙間を塞いだ塗膜を切って、水の通り道を確保する工程のことです。現在では、塗装乾燥後に塗膜を切るのではなく、中塗り前にタスペーサーという用具を使って十分な隙間を作ることで縁切りを行うことが多くなっています。

スレート系の屋根をローラーなどで塗装すると、瓦の重ね目に塗料が入り込み、乾燥すると重ね目は塞がった状態になります。このままですと、屋根に降り注いだ雨水がスレート瓦の隙間を通り出られずに、屋根内部に雨水が浸入し、雨漏り等の原因になります。

そこで、排水を目的に縁切りを行います。塗料が乾燥した後に、塞がった隙間の塗膜を切ることで、水の通り道を作るのです。重ね目を塞いでいる塗膜を一つ一つ切って開いていく作業なので手間がかかりますが、スレート系屋根の塗装を行うときには必ず必要な工程です*。

*新築時のスレート屋根は、塗装をしませんので、縁切り作業は必要ありません。

具体的には、カッターなどで瓦の重ね目を塞いでいる塗膜を切るのですが、今日ではカッターは使わず、セイム社が販売している縁切り用部材タスペーサー（以下写真）を重ね目に挿し込むことで、スレート瓦の間に十分な隙間を作り、縁切りを行うことが多くなっています。

タスペーサーは約15センチ間隔で重ね目に挿し込むので、平均的な屋根1つに1,000個ほどのタスペーサーを使用して縁切りを行います。重ね目に十分な隙間を作ることで、塗膜の厚みによって隙間が埋まらないように施しています。

スレート系屋根の塗装には、必ず縁切り費用が加わります。料金は一般的な屋根（30坪）であれば3～5万円程度です。